【開催レポート】第1回「たがわ GOLD RUSH」最終決戦!

2026年2月28日、田川市民会館にて、田川市初のビジネスアイデアコンテスト「たがわ GOLD RUSH(たがわゴールドラッシュ)」の最終審査会が開催されました。

「挑戦者よ、熱意を燃料に掘り起こせ!」という力強いスローガンのもと、会場は田川の次世代を担う挑戦者たちと、それを支える市民の熱気で包まれました。

主催者挨拶:田川の課題を「地域の力」で解決する新機軸
(中山 英敬 氏)

主催者を代表して登壇した中山理事長からは、本プロジェクトの根幹となるマッチングシステム「KIBITTE(きびって)」の誕生の経緯と、このコンテストに懸ける強い決意が語られました。

1. 手探りで作り上げた、感謝のステージ

中山氏は冒頭、慣れない面々で初めて取り組んだ企画が、これほど盛大に開催されたことへの驚きと感謝を述べました。実行委員会や、最前列に並ぶ10名の専門審査員、そして地元協賛企業・団体に対し、一人ひとりの協力があったからこそ今日を迎えられたと深く感謝を伝えました。

2. 田川再生の鍵は「中小企業の創出と育成」

「田川をどうやって元気な街にするか」という問いに対し、中山氏は「田川にたくさんの中小企業を生み育て、それらが元気になることが一番重要である」と断言しました。1年半前、地域の活性化を模索する中で、毎月の議論の末に作り上げたのがマッチングシステム「KIBITTE(きびって)」です。

3. 地域で結び、地域で解く「きびる」の精神

「KIBITTE」は、生活者の「困りごと」を、解決できる地域の「事業者」へ繋ぐシステムです。

  • 名前の由来:田川の言葉で「結ぶ・縛る」を意味する「きびる」から名付けられました。
  • 目指す姿:「地域内の困りごとは、すべて地域内で解決していく」という地産地消ならぬ「地産地解決」の経済循環を目指しています。

4. 「企業変革」の種に。49組の応募。

今回は、KIBITTEに寄せられた膨大な困りごとを「地域の課題」として体系化し、全国へ向けてその解決策となるビジネスプランを募集しました。 その結果、全国から49組もの応募があり、本日はそのトップ5による最終決戦となります。中山氏は、寄せられた全てのプランを登録事業者に公開し、既存企業の経営変革や新規事業への挑戦、ひいては田川全体の発展に役立てていく方針を明かしました。

5. 行政も期待を寄せる「継続的な挑戦」へ

挨拶の最後には、田川市長からも「1回で終わらずに、毎年続けていってほしい」という激励の言葉があったことに触れました。「みんなでワクワクしながら、これからの田川の未来を構築していきたい」という、期待に満ちた言葉で幕を開けました。

最終決戦!5組のファイナリストによる渾身のピッチ

今大会には計49組のエントリーがあり、その中から厳しい審査を勝ち抜いた5組のファイナリストが登壇しました 。各チーム20分という限られた時間の中で、田川の未来を変える独創的なアイデアが発表されました 。

1. Norigoni:橋口 達也 氏

「田川有機農業プロジェクト ~地域と地球を再生する米づくり~」

就農2年目の橋口氏は、農薬使用への疑問から有機農業の道へ。微生物豊かな土づくりによる「食」、高齢者宅への配達を通じた「福祉(見守り)」、不登校児の居場所を作る「教育」を掛け合わせ、田川の土から新しい風景を作るビジョンを示しました。

2. Golfary:キムジチョル 氏

「インバウンドゴルフ旅行を起点とした田川地域観光活性化事業」

韓国人ゴルファーが直面する予約の不確実性を、専門家の知見を学習したAIシステム「Golfary」で解決します。田川の「温泉・食・お酒」を強みに、これまでの「通過型」から「滞在型」へとインバウンド観光を塗り替えるプランを提案しました。

3. 株式会社TOJISM:小野 淳平 氏

「現代版湯治『当事務』による田川・心身の再起動拠点構築」

「英彦山湯~遊~共和国」の熱狂をテクノロジーで再定義する、シリアルアントレプレナーの小野氏。英彦山にAIが生態データを解析して最適なプログラムを提案する「ネオ湯治ラボ」を構築し、都会で疲弊した人々を再起動させるインフラ作りを掲げました。

4. ジモト歴史バトルカードCONNECTOR'S:石谷 翔平 氏

「地元を題材にしたバトルカードで田川10万人を1つにする」

かつて地元を誇れず出身地を隠した経験を持つ石谷氏。地域の歴史や事業者をカードゲーム化することで、子供たちが遊びながら地元企業を知り、将来の就職や事業承継へと繋がる「誇りの循環」を生み出す仕組みを熱弁しました。

5. チーム LE:北  敢氏

「田川スターターハウス」

高校教員の北氏は、毎年240名の県立大生が街を去る現状を指摘。商店街の空き家を学生寮とし、地元企業がスポンサーとなって学生と交流する場を作ることで、「人で繋がるから、この街に残る」という若者の還流モデルを提案しました。

専門家による「本気」の審査とフィードバック

審査員には、金融機関、大学教授、地元企業の経営者など、多彩な専門家が名を連ねました 。実現性・社会性・将来性の観点から、各プロジェクトを社会実装へと導くための鋭くも温かい講評が送られました 。

特別エキシビジョン:白石 憲正 氏

「田川に眠るダイヤモンド」

田川出身の連続企業家、白石氏は歯科医療DX「10FLOW(テンフロー)」の事業を紹介しつつ、後輩たちへ「実行の価値」を説きました。 「田川には炭鉱時代に築かれた富(ブラックダイヤモンド)がまだタンスの中に眠っている。それを歯科医療のような価値(ホワイトダイヤモンド)に変換し、世界へ勝負をかける。アイデアよりも、明日から動く実行力こそが全てだ」という力強いエールが送られました。

トークセッション:地域課題の「手触り」と大人の責任

モデレーターの青柳氏を筆頭に、現場の最前線に立つ3名が登壇しました。

  • 行平 氏(田川産業株式会社)
    海外事業を展開する中での採用難に触れ、特に子育て世代にとっての「教育環境」が移住の壁になっている現状を指摘。
  • 川寄 氏(特定非営利活動法人スカイラボサポートセンター)
    オーバードーズや孤立といった、家庭内で顕在化している子供たちの深刻な悲鳴と、それを受け止める大人の居場所の必要性を共有。
  • 倉 氏(田川市教育委員会)
    学校現場の限界を認め、地域の大人や企業が「共同」して子供たちを育てる新しい教育体制への期待を語りました。

「地域課題を作っているのは他ならぬ我々大人である」という自省と共に、次世代に何を残せるかという本音の議論が交わされました。

審査結果:田川の歴史に刻まれた栄冠

厳正なる審査の結果、以下の通り入賞者が決定しました!

  • 最優秀賞:石谷 翔平 氏(CONNECTOR'S)
  • 優秀賞:北 敢 氏(チーム LE)
  • 特別賞:キムジチョル 氏(Golfary)

実行委員長総評:ソーシャルビジネスが描く「愛の循環」と世界平和

佐野 典久 氏(たがわゴールドラッシュ実行委員長)
イベントの締めくくりとして登壇した佐野実行委員長は、自身の活動の歩みと、本コンテストが目指した究極のゴールについて語りました。

1. 長年の想いが結実した「ソーシャルビジネスの推進」

佐野氏は、田川市の条例に基づき、ソーシャルビジネスの推進に7〜8年前から取り組んできました。福岡県立大学の佐野教授と共に、地域に眠る「困りごと」を丁寧にテーマ化し、それらをビジネスで解決する仕組みを模索し続けてきたと言います。本コンテストは、まさにその「実装」の場として企画されました。

2. 予想を遥かに超えた、全国からの熱量

当初、実行委員会では「20組も集まれば御の字」と考えていましたが、蓋を開けてみれば全国から49組もの応募がありました。

  • 応募の内訳:福岡県内から33組、県外からも埼玉の中学生を含む16組の挑戦者が集まりました。
  • 審査の苦労:33もの具体的な事業計画書を1週間という短期間で精査しなければならないほど、寄せられたプランはどれも圧倒的な熱量に満ちていました。

3. ソーシャルビジネスの本質は「愛の循環」

佐野氏は、自身が考えるソーシャルビジネスの定義を力強く語りました。

「私は、ソーシャルビジネスとは『愛の循環』だと思っています。そして、その先にある『世界平和』を目指しています」

佐野氏が描く世界平和とは、「地球を100人の村だと仮定したとき、1人の人が残りの99人のことを想い合っている世界観」のことです。もし、この田川という地で、誰かの困りごとを皆でワクワクしながら解決していく風土が作れたなら、「ここはシリコンバレーにも負けない場所になる」と確信を込めて語りました。

4. 2030年、田川が世界のロールモデルへ

佐野氏は2020年に掲げた長期ビジョンを振り返りました。それは「2030年までに、田川の市民と企業が地域の課題を自分事として捉え、解決に向けて立ち上がっていく風土を作ること」です。 本日の開催は、そのビジョンに向けた「大いなる一歩」となりました。

5. 明日から始まる「愛の循環」への一歩

最後に、佐野氏は会場の参加者へ向けて呼びかけました。 「今日のコンテストは一つのきっかけに過ぎません。この後、ファイナリストや他の応募者と積極的に繋がり、コラボレーションを始めてください。明日からまた、愛の循環に向かって邁進していきましょう」